2012年09月16日
短編アセンション小説
それは‥‥‥‥
2013年5月
ゴールデンウィークの最中
M9の大地震が日本を襲った!
ここは栃木県の那須高原にある田島恭介の別荘で
すでに別荘の建物は倒壊していた
その
崩れた建物の庭にある大きな杉の木の幹から出ている
枝に捕まりながら
恭介は羽田美沙子の肩を抱き身体を支え
地震の揺れが弱くなるのを待っていた
恭介は田島家の一人息子で両親共に他界して
親の財産を相続し
のんびりした生活を送っていた
恭介の趣味といえば全国の神社と温泉を巡ることぐらいで
恭介と美沙子は伊勢神宮行きの観光ツアーで
意気投合し付き合うようになっていた
親から受け継いだ財産の一つの那須高原の別荘に
久しぶりの連休で何時ものように美沙子を連れて
来ていた‥‥‥
今の恭介の頭の中は‥‥‥
まるで映画の特撮シーンを見ているような
錯覚を覚えていた
この地震は未曽有の規模で
それは九州のトカラ列島から、
四国地方、東南海、相模湾、東京、と大地震による連鎖で
関東地方全体が津波に襲われて
大きな津波が那須高原近くまで白い波を運んでいた
かろうじてこの栃木県だけが関東地方の中で残ったのだった
恭介の顔はいまだに信じられない様子でいた
また
美沙子は震えながら泣いていた「恭介さん‥‥」
「こんな事ってあるの?」
「日本はどうなるの?」
「両親のいる東京は‥‥‥」
「もうだめだわ」
恭介は慌てた顔で
「美沙子さんしっかりするんだなんとか生き続けるんだ!」
「僕たちはこうして生きている」
「亡くなった人達の分まで生きるんだ」
「‥‥‥‥」
恭介は日本沈没と云う小松左京原作の映画を
思い出していた‥‥
その映画は新潟県の糸魚川から
静岡県沼津、浜松に伸びる
フォッサマグナが動き
そしてさらに
山梨県の諏訪大社から
分杭峠を拠点とした
中央構造線が分断して
日本列島が沈没してしまうという映画だった
「‥‥‥」
「ズズズン‥‥」
その時!
地響きが再び起こった
「ゴーッ‥‥」
「‥‥‥‥」
また大地が大きく揺れ杉の木の木々がざわざわと
音を立てながら
二人の身体を
揺らした
「恭介さん‥‥」
「ワッー」「怖い!」
と美沙子は恭介の腕をつかみ顔を恭介の胸にうずめた
しばらくして‥‥‥
美沙子は顔を上げ
「どうなるのこれから日本は‥‥‥」と美沙子は
大粒の涙を流しながら
恭介を見つめていた
恭介の瞳の中に悲しい顔をした美沙子の顔が映っていた
恭介は「美沙子さん‥‥このままいくと日本はほんとうに沈むかも‥‥
「今僕は
小松左京という小説家の書いた日本沈没と云う映画を思い出していたんだ」
「その映画では東南海地震から東京直下地震が引き金になり
フォッサマグナから日本
列島の中心にある中央構造線を刺激して
富士山が噴火し東京、埼玉県
千葉県、神奈川県、静岡県
そして東海地方、東南海
四国、九州が水没
ついには日本の陸地がほとんど沈没してしまうというストーリーだったんだ」
美沙子は
「そんな、そんなこと
イヤよー」「イヤよー」
美沙子は声を荒げて泣いた
恭介は
揺れが弱くなったのを感じ
美沙子の手を引きながら崩れた別荘の2階辺りの瓦礫まで連れて行き
「さぁ一緒に探して‥‥」
泣きながら美沙子は
「何を探すの?」
「ラジオ、ラジオだよ
携帯は繋がらないし
テレビもダメだし‥‥
こんな時はラジオが一番の情報元なんだ!」
「そうか!」と言いながら美沙子は涙を拭きながら瓦礫を持ち上げ始めた
しばらくすると
引き出しの無い
白い小さなタンスが目についた
「あっ!あった!あった!」
その白いタンスの横に
古いラジオが転がっていた「これだ!これだ!」
「でも‥‥?」
「コレ、音るかな?」
恭介は
ラジオを持ち上げスイッチを入れた
「‥‥‥‥‥?」
しばらくすると
「ピッ~」「ガ~ッ」
「おっ!大丈夫そうだな」
すると‥‥‥‥‥
ラジオから‥‥‥
「こちらは富山県の放送局です本日12時55分頃東南海地方を震源とするM9.8の地震が発生しました
被害状況の明細はまだ掴めませんが四国地方はほぼ水没した模様であります
また愛知県は津波により殆どが水没しました」
「尚今連絡が入りました山梨県側の富士山が噴火した模様であります
また東京を中心とした関東地方全体が水没しました」
「そんな馬鹿な」
「四国地方も九州もそして関東地方全体も」
「映画じゃない‥‥これは現実なんだ!」
「現実に‥‥‥」
「水没‥‥し‥た」
「いったいこれからどうなってしまうんだ!」
そして
再びラジオから
被害状況が聞こえてきた
「北海道、東北、全国の火山が噴火し始めました」
「九州のトカラ列島の島々の火山も噴火し始めました!
そしてトカラ列島全体が大きくなってきたという報告が入りました」
「恭介さんどういう事なの?」と美沙子が言った
恭介は「うん!もしかすると今度は海底が上がってきたのかも?」
「日本列島は沈むけど日本海溝が上昇してきた!
ようするに太平洋プレートが上昇している」
「まるでムー大陸が再び現れるみたいだ!」
「素敵ね!」
「‥‥‥‥」
「美沙子さんこんな時にのん気な人だなー」
「えっ私のん気?」
「そうだよ、さっきまであんなに泣き弱っていた人が、今はこの通り」
「ほんとうに、」
「フフフッ‥‥」
「ハハハハッー」
二人はラジオのニュースに耳を傾けながら
大きな声で笑った、
その二人の笑い声が
森の木々に木霊した
「‥‥‥‥‥」
美沙子は恭介の顔を見上げ
突然‥‥
静かに言った
「私、今年で38才よ」
「ん‥‥」
「そっか~」
「そうか僕は今年で51か‥‥」
「美沙子さんと知り合ってもう10年か‥‥早いな‥‥」
二人は見つめ合い
微笑んだ。
その時だった
静けさと一緒に‥‥‥
辺りは白色に染まり
恭介の身体と美沙子の身体は急に痺れを感じていた
なんと太陽の光が白く見え二人の身体は
太陽の熱を感じなくなっていた
そして恭介と美沙子の手足は指先の部分から
少しずつ光ながら透明になっていった
「恭介さん」「うん!」
「凄いわ!」「これって新しいエネルギーの影響かな?」
「だとするとアセンションか?これが?
だとすると僕と美沙子さんは選ばれし人なのか?」
「だとしたら新たな地球へ行くんだ」
「凄いぞヤッホー!」
「これを体験したかったんだ」
「念願のアセンションだ」
恭介は喜びはしゃいだ
美沙子は
「恭介さんこそまるで子供みたいにはしゃいで」
恭介は「美沙子さんこれってアセンションの症状だよ!
だって身体の感覚がまるで無い!何かの情報だったと思うけど
その瞬間
人の魂エネルギーが陰陽になる
これは高次元の世の中に生き続ける力となるんだ」
「ますます素敵じゃないなんだかワクワクドキドキしてきたわ!」
「私達二人が未知の扉を開けるのね」
「そうだね楽しいね」
「恭介さん?」
「うん!なんだい?」
「私達二人以外にもこれを体験している人達っているのかしら?
またいれば何人ぐらいいるのかしら?」
「何かの聞き覚えだけど200人から300人位いらしい」
「えっ!そんなに少ないの」
「だって世界人口が約70億でしょう」
「たったの300人?‥‥」「定かではないがそうらしい」「それも殆どが日本人だってさ‥‥」
「ふ~ん‥‥」
そして恭介と美沙子は静かに抱き合いながら身体の透明な部分が徐々に広がりやがて
身体が完全に透明になった
そして今までの激しい揺れと音が完全に収まって辺りは
音の無い世界が広がっていた
その時から二人の言葉はなくなり
恭介と美沙子は同じように考え思えば全ての意志疎通ができていた
恭介と美沙子の魂エネルギーは光輝き
地球も同じように光輝いていた
それは太陽の光と同じように魂と地球と太陽の光とが一体化して
音の無い柔らかな波動の
世界が地球全体に広がっていった。
終わり
2013年5月
ゴールデンウィークの最中
M9の大地震が日本を襲った!
ここは栃木県の那須高原にある田島恭介の別荘で
すでに別荘の建物は倒壊していた
その
崩れた建物の庭にある大きな杉の木の幹から出ている
枝に捕まりながら
恭介は羽田美沙子の肩を抱き身体を支え
地震の揺れが弱くなるのを待っていた
恭介は田島家の一人息子で両親共に他界して
親の財産を相続し
のんびりした生活を送っていた
恭介の趣味といえば全国の神社と温泉を巡ることぐらいで
恭介と美沙子は伊勢神宮行きの観光ツアーで
意気投合し付き合うようになっていた
親から受け継いだ財産の一つの那須高原の別荘に
久しぶりの連休で何時ものように美沙子を連れて
来ていた‥‥‥
今の恭介の頭の中は‥‥‥
まるで映画の特撮シーンを見ているような
錯覚を覚えていた
この地震は未曽有の規模で
それは九州のトカラ列島から、
四国地方、東南海、相模湾、東京、と大地震による連鎖で
関東地方全体が津波に襲われて
大きな津波が那須高原近くまで白い波を運んでいた
かろうじてこの栃木県だけが関東地方の中で残ったのだった
恭介の顔はいまだに信じられない様子でいた
また
美沙子は震えながら泣いていた「恭介さん‥‥」
「こんな事ってあるの?」
「日本はどうなるの?」
「両親のいる東京は‥‥‥」
「もうだめだわ」
恭介は慌てた顔で
「美沙子さんしっかりするんだなんとか生き続けるんだ!」
「僕たちはこうして生きている」
「亡くなった人達の分まで生きるんだ」
「‥‥‥‥」
恭介は日本沈没と云う小松左京原作の映画を
思い出していた‥‥
その映画は新潟県の糸魚川から
静岡県沼津、浜松に伸びる
フォッサマグナが動き
そしてさらに
山梨県の諏訪大社から
分杭峠を拠点とした
中央構造線が分断して
日本列島が沈没してしまうという映画だった
「‥‥‥」
「ズズズン‥‥」
その時!
地響きが再び起こった
「ゴーッ‥‥」
「‥‥‥‥」
また大地が大きく揺れ杉の木の木々がざわざわと
音を立てながら
二人の身体を
揺らした
「恭介さん‥‥」
「ワッー」「怖い!」
と美沙子は恭介の腕をつかみ顔を恭介の胸にうずめた
しばらくして‥‥‥
美沙子は顔を上げ
「どうなるのこれから日本は‥‥‥」と美沙子は
大粒の涙を流しながら
恭介を見つめていた
恭介の瞳の中に悲しい顔をした美沙子の顔が映っていた
恭介は「美沙子さん‥‥このままいくと日本はほんとうに沈むかも‥‥
「今僕は
小松左京という小説家の書いた日本沈没と云う映画を思い出していたんだ」
「その映画では東南海地震から東京直下地震が引き金になり
フォッサマグナから日本
列島の中心にある中央構造線を刺激して
富士山が噴火し東京、埼玉県
千葉県、神奈川県、静岡県
そして東海地方、東南海
四国、九州が水没
ついには日本の陸地がほとんど沈没してしまうというストーリーだったんだ」
美沙子は
「そんな、そんなこと
イヤよー」「イヤよー」
美沙子は声を荒げて泣いた
恭介は
揺れが弱くなったのを感じ
美沙子の手を引きながら崩れた別荘の2階辺りの瓦礫まで連れて行き
「さぁ一緒に探して‥‥」
泣きながら美沙子は
「何を探すの?」
「ラジオ、ラジオだよ
携帯は繋がらないし
テレビもダメだし‥‥
こんな時はラジオが一番の情報元なんだ!」
「そうか!」と言いながら美沙子は涙を拭きながら瓦礫を持ち上げ始めた
しばらくすると
引き出しの無い
白い小さなタンスが目についた
「あっ!あった!あった!」
その白いタンスの横に
古いラジオが転がっていた「これだ!これだ!」
「でも‥‥?」
「コレ、音るかな?」
恭介は
ラジオを持ち上げスイッチを入れた
「‥‥‥‥‥?」
しばらくすると
「ピッ~」「ガ~ッ」
「おっ!大丈夫そうだな」
すると‥‥‥‥‥
ラジオから‥‥‥
「こちらは富山県の放送局です本日12時55分頃東南海地方を震源とするM9.8の地震が発生しました
被害状況の明細はまだ掴めませんが四国地方はほぼ水没した模様であります
また愛知県は津波により殆どが水没しました」
「尚今連絡が入りました山梨県側の富士山が噴火した模様であります
また東京を中心とした関東地方全体が水没しました」
「そんな馬鹿な」
「四国地方も九州もそして関東地方全体も」
「映画じゃない‥‥これは現実なんだ!」
「現実に‥‥‥」
「水没‥‥し‥た」
「いったいこれからどうなってしまうんだ!」
そして
再びラジオから
被害状況が聞こえてきた
「北海道、東北、全国の火山が噴火し始めました」
「九州のトカラ列島の島々の火山も噴火し始めました!
そしてトカラ列島全体が大きくなってきたという報告が入りました」
「恭介さんどういう事なの?」と美沙子が言った
恭介は「うん!もしかすると今度は海底が上がってきたのかも?」
「日本列島は沈むけど日本海溝が上昇してきた!
ようするに太平洋プレートが上昇している」
「まるでムー大陸が再び現れるみたいだ!」
「素敵ね!」
「‥‥‥‥」
「美沙子さんこんな時にのん気な人だなー」
「えっ私のん気?」
「そうだよ、さっきまであんなに泣き弱っていた人が、今はこの通り」
「ほんとうに、」
「フフフッ‥‥」
「ハハハハッー」
二人はラジオのニュースに耳を傾けながら
大きな声で笑った、
その二人の笑い声が
森の木々に木霊した
「‥‥‥‥‥」
美沙子は恭介の顔を見上げ
突然‥‥
静かに言った
「私、今年で38才よ」
「ん‥‥」
「そっか~」
「そうか僕は今年で51か‥‥」
「美沙子さんと知り合ってもう10年か‥‥早いな‥‥」
二人は見つめ合い
微笑んだ。
その時だった
静けさと一緒に‥‥‥
辺りは白色に染まり
恭介の身体と美沙子の身体は急に痺れを感じていた
なんと太陽の光が白く見え二人の身体は
太陽の熱を感じなくなっていた
そして恭介と美沙子の手足は指先の部分から
少しずつ光ながら透明になっていった
「恭介さん」「うん!」
「凄いわ!」「これって新しいエネルギーの影響かな?」
「だとするとアセンションか?これが?
だとすると僕と美沙子さんは選ばれし人なのか?」
「だとしたら新たな地球へ行くんだ」
「凄いぞヤッホー!」
「これを体験したかったんだ」
「念願のアセンションだ」
恭介は喜びはしゃいだ
美沙子は
「恭介さんこそまるで子供みたいにはしゃいで」
恭介は「美沙子さんこれってアセンションの症状だよ!
だって身体の感覚がまるで無い!何かの情報だったと思うけど
その瞬間
人の魂エネルギーが陰陽になる
これは高次元の世の中に生き続ける力となるんだ」
「ますます素敵じゃないなんだかワクワクドキドキしてきたわ!」
「私達二人が未知の扉を開けるのね」
「そうだね楽しいね」
「恭介さん?」
「うん!なんだい?」
「私達二人以外にもこれを体験している人達っているのかしら?
またいれば何人ぐらいいるのかしら?」
「何かの聞き覚えだけど200人から300人位いらしい」
「えっ!そんなに少ないの」
「だって世界人口が約70億でしょう」
「たったの300人?‥‥」「定かではないがそうらしい」「それも殆どが日本人だってさ‥‥」
「ふ~ん‥‥」
そして恭介と美沙子は静かに抱き合いながら身体の透明な部分が徐々に広がりやがて
身体が完全に透明になった
そして今までの激しい揺れと音が完全に収まって辺りは
音の無い世界が広がっていた
その時から二人の言葉はなくなり
恭介と美沙子は同じように考え思えば全ての意志疎通ができていた
恭介と美沙子の魂エネルギーは光輝き
地球も同じように光輝いていた
それは太陽の光と同じように魂と地球と太陽の光とが一体化して
音の無い柔らかな波動の
世界が地球全体に広がっていった。
終わり